性質および化学反応

　１９１３年にK.FajansとO.H.Göringが²³⁸Uの壊変生成物中に²³⁴Paを見出した。１９１９年にO.HahnとL.Meitnerは²³¹Paがα壊変することにより²²⁷Acとなることを見出し、アクチニウムの親核種にあたることからプロトアクチ二ウムと命名された。
　銀白色の金属単体でありアクチノイドに属するが、アクチニウムのように酸と活発には反応せず、塩酸とは表面が反応するのみである。水溶液中では５価の状態が安定であるが、電荷が高いため強酸性溶液中でもPa⁵⁺は加水分解しオキシ水酸化物を沈殿しやすい。

放射性元素

自然界における存在

　最も半減期の長い²³¹Paはアクチニウム系列の中間壊変生成物としてウラン鉱中にウラン１トン当たり0.33gが定常的に存在する。また²³⁴Paはウラン系列の中間壊変生成物として定常的に存在する。

工業的用途

主な化合物

化合物中ではプロトアクチ二ウム原子の酸化数は+4および+5をとることが多い。

PaO₂	酸化プロトアクチ二ウム(Ⅳ)	Protactinium(Ⅳ) Oxide
Pa₂O₅	酸化プロトアクチ二ウム(Ⅴ)	Protactinium(Ⅴ) Oxide

電子配置	1s²2s²2p⁶3s²3p⁶3d¹⁰4s²4p⁶4d¹⁰4f¹⁴5s²5p⁶5d¹⁰5f²6s²6p⁶6d¹7s² [Rn]5f²6d¹7s²
第一イオン化エネルギー	568 kJ/mol	5.89 eV
電子親和力	kJ/mol	eV

密度	15.37 g/cm³ (calc.)
結晶格子	体心正方格子　a=3.770Å, c=3.238Å
融点	1552℃
沸点	4230℃

地殻中存在比	ppm
海水中存在比	6×10^-9 ppb
大気中存在比
宇宙存在比(Si=10⁶)	3×10^-9

同位体
核種	相対質量	スピンパリティー	半減期	天然存在比	壊変
²²⁹Pa	229.032096793	(5/2⁺)	1.50 d	-	EC99.52, α0.48
²³⁰Pa	230.034540754	(2^-)	17.4 d	-	EC90.5, β^-9.5, α0.0032
²³¹Pa	231.035883990	3/2^-	3.276×10⁴ yr	～99.9999％	α
²³²Pa	232.038591592	(2^-)	1.31 d	-	β^-, EC
²³³Pa	233.040247277	3/2^-	26.967 d	-	β^-
²³⁴Pa	234.043308058	4⁺	6.70 h	～5×10^-5％	β^-

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