性質および化学反応
ヨウ素は漢字で「沃素」と書くが、これは常用漢字ではないためカタカナが使用される。黒紫色の金属光沢を持った固体であり、融点以下の温度でも昇華して紫色の蒸気を発生する。水にはわずかに溶解し、淡褐色を呈し、アルコールには容易に溶解し褐色溶液となる。ベンゼンに溶解した場合は赤紫色となり、ヘキサン溶液は紫色を呈する。これはアルコールおよびベンゼンの場合は溶媒分子とゆるく結合し錯体を形成するからである。
ヨウ化ナトリウム水溶液にはポリヨウ化物イオンを生成して溶解する。水酸化ナトリウム水溶液には不均化を起こして溶解する。
他のハロゲンと同様、酸化作用を示すが、酸化還元電位+0.534 V (I2/I-)はハロゲン中最も低く、ヨウ化物イオンは空気中で酸化されることもある。しかしヨウ素の有機溶媒溶液は金および白金にも作用し溶解する能力を持つ。
ヨウ化物イオンとの反応 |
I2 + I- I3- |
アルカリ水溶液への溶解 |
3I2 + 6OH- → 5I- + IO3- + 3H2O |
ヨウ素の単体
自然界における存在
ヨウ素を主成分とする鉱物としては臭銀鉱の臭素をヨウ素に置換したヨウ化銀鉱AgIが存在する。またチリ硝石中にヨウ素酸ナトリウムNaIO3の形で少量含まれる。海水に微量溶解していて海藻中に濃縮されている。甲状腺ホルモンの構成元素でもあり、生物にとって必須元素である。
生わかめ 三陸産
工業的用途
アルコール溶液はヨードチンキとして傷口の消毒、およびうがい薬などに用いられる。
主な化合物
化合物中のヨウ素の酸化数には-1, +1, +3, +5, +7などが存在する。
HI |
ヨウ化水素 |
Hydrogen Iodide |
HIO |
次亜ヨウ素酸 |
Hypoiodous Acid |
HIO3 |
ヨウ素酸 |
Iodic Acid |
H5IO6 |
過ヨウ素酸 |
Periodic Acid |
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