性質および化学反応
銀白色の軽金属であるが他の2族元素とは性質がまったく異なり、アルミニウムとの類似性が高い。これはイオン半径が異常に小さいためである。表面に薄い酸化皮膜をつくり、酸化はそれ以上進行しにくい。水とはほとんど反応しないが希塩酸、フッ化水素酸および希硫酸に速やかに、硝酸に徐々に溶解し水素を発生し、また濃いアルカリ水溶液にも溶解して水素を発生するという両性元素である。金属および水溶性の化合物は著しい毒性を示し、特に金属粉末を吸入すると癌の原因になるといわれている。
元素名はこの元素を含む主な鉱物である緑柱石Berylより命名された。
塩酸との反応 |
Be + 2HCl → BeCl2 + H2 |
水酸化ナトリウム水溶液との反応 |
Be + 2NaOH + 2H2O → Na2[Be(OH)4] + H2 |
ベリリウムの単体
自然界における存在
ベリリウムイオンBe2+は半径が小さく、マグネシウムイオンを含む鉱物を置換することがほとんどないため、独自の鉱物を形成しやすく、花崗岩中に濃縮されている。ベリリウムを含む最も普通の鉱物は緑柱石Be3Al2Si6O18であり、このうち青色透明なものはアクアマリン、クロムイオンを含み緑色透明なものはエメラルドと呼ばれ宝石にされる。アルミニウムとの複酸化物である金緑石には、微小な針状のインクルージョンを含みキャッツアイ効果を示すものと、蛍光灯下では緑色を呈し、白熱灯下では赤色を呈するものがある。
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アクアマリン原石 中国四川省産 | エメラルド原石 |
金緑石(クリソベリル) マダガスカル産
工業的用途
ベリリウムは軽くアルミニウムよりも機械的強度が高いため、構造材料として注目されている。また銅合金に加えてベリリウム青銅として機械部品に用いられる。原子量が小さいためX線を通しやすく、X線照射源の窓として利用される。
主な化合物
化合物中ではベリリウムは常に2価の陽イオンBe2+として存在する。
BeO |
酸化ベリリウム |
Beryllium Oxide |
BeCl2·4H2O |
塩化ベリリウム四水和物 |
Beryllium Chloride Tetrahydrate |
BeSO4·4H2O |
硫酸ベリリウム四水和物 |
Beryllium Sulfate Tetrahydrate |
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