性質および化学反応
ケイ素は漢字で「珪素」と書くが、これは常用漢字ではないためカタカナが使用される。単体は金属光沢を持つ青灰色のもろい固体で、室温では空気中で安定であり、高温では酸化される。塩酸および希硫酸とは反応せず、王水により酸化され二酸化ケイ素を生成し、水酸化ナトリウム水溶液には徐々に水素ガスを発生しながら溶解し、メタケイ酸ナトリウムになる。
水酸化ナトリウム水溶液との反応 |
Si + 2NaOH + H2O → Na2SiO3 + 2H2 |
ケイ素の単体
自然界における存在
岩石は多数に及ぶケイ酸塩鉱物を含み、ケイ素の地殻中の含有率は酸素についで2位であり総重量の1/4以上を占める。単体では産出せず、石英および水晶のような二酸化ケイ素または、ケイ酸塩となっている。水晶はモースの硬度計で7度と定義される。ケイ酸塩についても岩石中の含有量はSiO2として表され、有色鉱物が少なく酸性岩として分類される花崗岩は約70%、有色鉱物が多く塩基性岩として分類される玄武岩は約50%のSiO2を含む。
ケイ酸塩鉱物はケイ酸イオンSiO44-の正四面体型構造を基本単位とし、概略的には以下のように分類される。
各種ケイ酸イオンの構造とケイ酸塩鉱物
ネソケイ酸塩 |
SiO44- |
独立した四面体のケイ酸イオン |
カンラン石 |
ソロケイ酸塩 |
Si2O76- |
2個の四面体が頂点に位置する酸素原子を共有 |
緑簾石 |
サイクロケイ酸塩 |
Si6O1812- |
6個の四面体が酸素原子を共有した環状構造 |
電気石 |
イノケイ酸塩 |
(Si2O64-)n |
四面体が2ヶ所の酸素原子を共有した鎖状構造 |
輝石 |
(Si4O116-)n |
2本の鎖状構造がさらに酸素原子で架橋 |
角閃石 |
フィロ酸塩 |
(Si2O52-)n |
四面体が3ヶ所の酸素原子を共有した平面状構造 |
雲母 |
テクトケイ酸塩 |
(SiO2)n |
四面体が4ヶ所の酸素原子を共有した立体構造 |
石英 |
(AlSi3O8-)n |
ケイ素の一部がアルミニウムに置換 |
長石 |
水晶
工業的用途
単体としては、高純度に精製したものが半導体として、電子部品および太陽電池などに用いられる。半導体用には純度が少なくともナインナイン(99.9999999%)以上のものが必要で、場合によりイレブンナイン(99.999999999%)以上のものも製造される。二酸化ケイ素およびケイ酸塩はガラスおよび、各種窯業用材料として用いられる。
主な化合物
化合物中のケイ素の酸化数には-4, +2 +4などが存在する。
SiH4 |
シラン |
Silane |
SiO2 |
二酸化ケイ素 |
Silicon Dioxide |
H4SiO4 |
ケイ酸 |
Silicic Acid |
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