性質および化学反応
1801年にC.Hatchhettにより発見されコロンビア州にちなんでコロンビウムColumbiumと命名されたが、1844年にH.Roseによりタンタル類似の元素が独自に発見され、タンタロスの神の娘のNiobeからNiobiumと命名した。しばらく二種類の名称の並列状態が続いたが、1949年にNiobiumに統一された。
単体は銀白色の硬い金属元素で極低温では超伝導となるが、転移温度は9.25 Kで単体金属としては最も高い。空気中では薄い酸化皮膜を形成し、錆は進行しにくく、塩酸および希硫酸とは反応しにくいが、硝酸とフッ化水素酸との混合物にはフルオロ錯体を形成して徐々に溶解する。
フッ化水素酸と硝酸の混合物との反応 |
3Nb + 18HF + 5HNO3 → 3H[NbF6] + 5NO + 10H2O |
ニオブの単体
自然界における存在
鉄との複合酸化物であるコルンブ石(Fe,Mn)(Nb,Ta)2O6が主な鉱物であり、類似元素であるタンタルと常に共存する。
鉄コルンブ石 福島県石川郡産
工業的用途
ゲルマニウムとの金属間化合物Nb3Geは転移温度が23.2 Kと高く、Nb3Snの転移温度は18.05 Kであるが非常に高い磁界を形成することが可能で超伝導コイルの材料として用いられる。
主な化合物
化合物中ではニオブ原子は-1〜+5のあらゆる酸化数をとるが+5が安定である。
Nb2O5 |
酸化ニオブ(Ⅴ) |
Niobium(Ⅴ) Oxide |
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