性質および化学反応

　アスタチンの元素名はギリシャ語の不安定という意味から命名された。アスタチンの寿命は半減期が長い同位体でも数時間程度で、²¹¹Atがサイクロトロンにより²⁰⁹Bi(α,2n)の反応で合成され、これはマクロの量では得られていないが、ヨウ素に共存させて化学反応を行うと、放射能測定によりヨウ素と伴に挙動していることが判り、化学的性質はヨウ素に類似しているものと推定される。

放射性元素

自然界における存在

　²¹⁸Atはウラン系列、²¹⁵Atおよび²¹⁹Atはアクチニウム系列の中間壊変生成物として定常的に存在する。

工業的用途

主な化合物

　１価の陰イオンAt^-および酸素酸イオンAtO₃^-を含む化合物の存在が予想され、後者の５価の化合物がより安定であると考えられる。

電子配置	1s²2s²2p⁶3s²3p⁶3d¹⁰4s²4p⁶4d¹⁰4f¹⁴5s²5p⁶5d¹⁰6s²6p⁵ [Xe]4f¹⁴5d¹⁰6s²6p⁵
第一イオン化エネルギー	920 kJ/mol	9.5 eV
電子親和力	270 kJ/mol	2.8 eV

密度	g/cm³ (r.t.)
結晶格子	格子( )　a= nm
融点	302℃
沸点	337℃

地殻中存在比	ppm
海水中存在比	3×10^-22 ppb
大気中存在比
宇宙存在比(Si=10⁶)

同位体
核種	相対質量	スピンパリティー	半減期	天然存在比	壊変
²⁰⁷At	206.985783502	9/2^-	1.80 hr	-	EC+β⁺91.4, α8.6
²⁰⁸At	207.986589977	6⁺	1.63 hr	-	EC+β⁺99.45, α0.55
²⁰⁹At	208.986173143	9/2^-	5.41 hr	-	EC95.9, α4.1
²¹⁰At	209.987147710	5⁺	8.1 hr	-	EC+β⁺99.825, α0.175
²¹¹At	210.987496271	9/2^-	7.214 hr	-	EC58.2, α41.8
²¹²At	211.990744771	(1^-)	0.314 s	-	α, EC+β⁺＜3×10^-2, β^-＜2×10^-6
²¹³At	212.992936646	9/2^-	125 ns	-	α
²¹⁴At	213.996371733	1^-	558 ns	-	α
²¹⁵At	214.998652570	9/2^-	0.10 ms	trace	α
²¹⁶At	216.002423257	1^(-)	0.3 ms	-	α, EC, β^-
²¹⁷At	217.004718822	9/2^-	32.3 ms	-	α99.988, β^-0.012
²¹⁸At	218.008694336	(2^-)	1.6 s	trace	α99.9, β^-0.1
²¹⁹At	219.011161691		56 s	trace	α97, β^-3

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