性質および化学反応

　安定同位体は存在せず、すべて放射性同位体である。希ガス元素に属し、その中では最も密度の高い気体であり、水に対する溶解度も比較的高い。詳しい化学的性質は確認されていないがキセノンに類似するものと推定され、フッ化物などの化合物がつくられている。

放射性元素

自然界における存在

　天然に最も多く存在すると考えられる²²²Rnは²³⁸Uをスタートとするウラン系列の中間壊変生成物で²²⁶Raの娘核であり、ウラン鉱から生成したラドンは、ウラン１トンにつき2.2μgの量が定常的に存在している。²¹⁸Rnもウラン系列の中間壊変生成物として定常的に存在し、²¹⁹Rnはアクチニウム系列、²²⁰Rnはトリウム系列の中間壊変生成物として定常的に存在する。ウラン鉱床の坑道には極微量のラドンガスが存在し、地下室などにも存在していて肺癌の原因の一つであるともいわれている。しかし一方ではラドン温泉など非常に低い濃度の放射線はホルミシス効果と呼ばれ、むしろ健康を促進するといわれているが理由はよく判っていない。
　花崗岩には微量のウランおよびトリウム鉱物が含まれ、これに伴って極微量のラジウムおよびラドンが存在するが、地殻変動により断層が生じると、間隙に滞留していたラドンガスが放出され、地下水中のラドン濃度に変化が見られる。西宮市では１９９５年の兵庫県南部地震の２ヶ月前から地下水中のラドン濃度が異常に増加し始め、１週間前にピークに達し、前日には正常値に戻ったという。

工業的用途

主な化合物

　フッ化ラドンが存在し組成は不明であるが、おそらくRnF₂、RnF₄、RnF₆などであろう。

電子配置	1s²2s²2p⁶3s²3p⁶3d¹⁰4s²4p⁶4d¹⁰4f¹⁴5s²5p⁶5d¹⁰6s²6p⁶ [Xe]4f¹⁴5d¹⁰6s²6p⁶
第一イオン化エネルギー	1037.063 kJ/mol	10.748 eV
電子親和力	～0 kJ/mol	～0 eV

密度	0.00973 g/cm³ (0℃, 1 atm)
結晶格子	格子( )　a= nm
熱容量Cp（定圧比熱）25℃	20.786 J/mol K (0.02238 cal/g K)
融点	-71℃
沸点	-61.8℃

地殻中存在比	ppm
海水中存在比	6×10^-13 ppb
大気中存在比
宇宙存在比(Si=10⁶)	2×10^-14

同位体
核種	相対質量	スピンパリティー	半減期	天然存在比	壊変
²¹⁰Rn	209.989696216	0⁺	2.42 hr	-	α96, EC4
²¹¹Rn	210.990600523	1/2^-	14.6 hr	-	EC+β⁺74, α26
²¹²Rn	211.990703529	0⁺	23.9 min	-	α
²¹³Rn	212.993882668	(9/2⁺)	19.5 ms	-	α
²¹⁴Rn	213.995362554	0⁺	0.27 μs	-	α
²¹⁵Rn	214.998745483	9/2⁺	2.30 μs	-	α
²¹⁶Rn	216.00027437	0⁺	45 μs	-	α
²¹⁷Rn	217.003927675	9/2⁺	0.54 ms	-	α
²¹⁸Rn	218.005601256	0⁺	35 ms	trace	α
²¹⁹Rn	219.009480204	5/2⁺	3.96 s	trace	α
²²⁰Rn	220.011393981	0⁺	55.6 s	trace	α
²²¹Rn	221.015536782	7/2⁽⁺⁾	25.7 min	-	β^-78, α22
²²²Rn	222.017577738	0⁺	3.8235 d	trace	α
²²³Rn	223.02179	7/2	23.2 min	-	β^-, α0.0004
²²⁴Rn	224.02409	0⁺	1.78 hr	-	β^-

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