性質および化学反応

　１９３９年にフランスのF.A.Penethによりアクチニウム系列の壊変生成物として²²³Frが確認され、母国の名称から元素名を命名した。
　フランシウムは半減期の短い同位体しか存在しないため、マクロの量では得られず化学的性質はほとんど確認されていないが、トレーサー測定からアルカリ金属イオンと伴に挙動していることが確認され、アルカリ金属の典型的な性質を示し、特にセシウムに類似しているものと推定される。

放射性元素

自然界における存在

　最も半減期の長い²²³Frでも22分に過ぎないが、これはアクチニウム系列の中間壊変生成物としてウラン鉱中にウラン１トン当たり5.5×10^-6μgが定常的に存在する。また²²⁴Frはトリウム系列の中間壊変生成物として定常的に存在する。

工業的用途

主な化合物

　1価の陽イオンFr⁺を含む化合物を形成するものと予想される。

電子配置	1s²2s²2p⁶3s²3p⁶3d¹⁰4s²4p⁶4d¹⁰4f¹⁴5s²5p⁶5d¹⁰6s²6p⁶7s¹ [Rn]7s¹
第一イオン化エネルギー	380 kJ/mol	3.9 eV
電子親和力	kJ/mol	eV

密度	g/cm³
結晶格子	格子( )　a= nm
融点	(27℃)
沸点	(677℃)

地殻中存在比	ppm
海水中存在比	8×10^-21 ppb
大気中存在比
宇宙存在比(Si=10⁶)	5×10^-20

同位体
核種	相対質量	スピンパリティー	半減期	天然存在比	壊変
²¹⁰Fr	209.996407738	6⁺	3.18 min	-	α60, EC+β⁺40
²¹¹Fr	210.995536544	9/2^-	3.10 min	-	α＞80, EC＜20
²¹²Fr	211.996202244	5⁺	20.0 min	-	EC+β⁺57, α43
²¹³Fr	212.996189081	9/2^-	34.6 sec	-	α99.45, EC+β⁺0.55
²¹⁴Fr	213.998971145	(1^-)	5.0 ms	-	α
²¹⁵Fr	215.000341497	9/2^-	86 ns	-	α
²¹⁶Fr	216.00319799	(1^-)	0.70 μs	-	α, EC＜2×10^-7
²¹⁷Fr	217.004631951	9/2^-	16 μs	-	α
²¹⁸Fr	218.007578322	1^-	1.0 ms	-	α
²¹⁹Fr	219.009252149	9/2^-	20 ms	-	α
²²⁰Fr	220.012327405	1⁺	27.4 sec	-	α99.65, β^-0.35
²²¹Fr	221.014254762	5/2^-	4.9 min	-	α＞99.9, β^-＜0.1, ¹⁴C8.8×10^-11
²²²Fr	222.01755173	2^-	14.2 min	-	β^-
²²³Fr	223.019735857	3/2^-	22.0 min	trace	β^-99.994, α0.006
²²⁴Fr	224.023249951	1^-	3.30 min	trace	β^-
²²⁵Fr	225.025565414	3/2^-	4.4 min	-	β^-
²²⁶Fr	226.029386231	1^-	49 sec	-	β^-
²²⁷Fr	227.031835938	1/2⁺	2.47min	-	β^-

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