性質および化学反応
銀白色の金属元素で空気中で酸化されて黒変しやすい。金属表面をやすりなどでこすると火花を発生する。薄い酸にたやすく溶解し、無色の３価の陽イオンCe3+を生成し、これをぺルオキソ硫酸塩などの強酸化剤と反応させると、無色の４価の陽イオンCe4+に変化する。
元素は１８０３年にドイツのM.H.KlaprothとスウェーデンのJ.Berzeliusによりそれぞれ独立に発見され、１８０１年に発見された初の小惑星Ceresの名前をとって命名された。
セリウムの単体
自然界における存在
ペグマタイト質の岩漿より晶出した鉱物であるリン酸塩としてモナズ石(La,Ce)PO4およびバストネサイト(La,Ce)CO3Fなどの希土類鉱物中に他の軽ランタノイド元素(La〜Gd)と伴に存在する。希土類元素中で最も存在度が高い。
モナズ石 福島県石川郡産
工業的用途
セリウムを中心とし、ランタン、プラセオジム、ネオジムおよびその他の希土類元素を含む未分離の合金をミッシュメタルと呼び、やすりでこすって粉末にすると空気中で発火するため、鉄を30％加えてライターの発火合金に用いられる。
酸化セリウム(Ⅲ)はカラーテレビの青色蛍光体、また紫外線の吸収能力から、サングラスおよび自動車のガラスに添加される。酸化セリウム(Ⅳ)CeO2はエンジン内で発生する一酸化炭素および窒素酸化物の分解反応を促進し、白金およびロジウムに代わる、自動車排気ガス浄化触媒として用いられる。
主な化合物
化合物中ではセリウム原子の酸化数は+3および+4をとることが多い。
| Ce2O3 |
酸化セリウム(Ⅲ) |
Cerium(Ⅲ) Oxide |
| CeO2 |
酸化セリウム(Ⅳ) |
Cerium(Ⅳ) Oxide |
| Ce(OH)3 |
水酸化セリウム(Ⅲ) |
Cerium(Ⅲ) Hydroxide |
| Ce2(SO4)3·8H2O |
硫酸セリウム(Ⅲ)八水和物 |
Cerium(Ⅲ) Sulfate Octahydrate |
|
