性質および化学反応
1898年にPierre and Marie Curieによりピッチブレンドのウランを抽出した残渣を溶解し、硫酸バリウムと共沈させ、分別結晶を繰り返すことにより分離され、新元素と確認された。続いて1910年には塩化ラジウム水溶液を水銀を陰極として電気分解を行い、生成したアマルガムの水銀を蒸発させて単体金属を得ている。ラジウムは自身の放射線で暗所で青白く光り、ラテン語の放射Radiusから命名された。ラジウム1 gの壊変により生成する数にほぼ等しい、毎秒3.7×1010個のα粒子を生成するだけの放射性原子の量を1 Ci(キュリー)としている。
化学的性質はバリウムに類似し、単体は水と激しく反応し、強塩基性の水酸化ラジウムとなり、硫酸ラジウムは硫酸バリウムよりさらに溶解度が小さい。
大気中での酸化 |
2Ra + O2 → 2RaO |
ΔH °= -1046kJ |
水との反応 |
Ra + 2H2O → Ra(OH)2 + H2 |
ΔH °= -415.9kJ |
ラジウムイオンと硫酸イオンとの反応 |
Ra2+aq + SO42-aq → RaSO4(s)↓ |
Ksp = 3.7×10-11 |
放射性元素
自然界における存在
最も半減期の長い226Raは238Uをスタートとするウラン系列の中間壊変生成物で、ウラン鉱中にウラン1トンにつき0.34gのラジウムが定常的に含まれている。223Raはアクチニウム系列、224Raおよび228Raはトリウム系列の中間壊変生成物として定常的に存在する。
台湾の北投温泉および秋田県玉川温泉の天然記念物の北投石は、温泉水から結晶化し重晶石と硫酸鉛鉱が固溶体となったものであるが、温泉水に極微量に溶解したラジウムイオンが共沈して含まれ、放射性を示す。
工業的用途
60Coなどの放射性同位体が人工的に製造されるようになるまでは、放射線源として癌の治療など医療用に用いられてきた。また蛍光剤に少量混ぜると、ラジウムの放出する放射線が発光させることから、時計の文字盤などの夜光塗料として用いられる。
夜光塗料
主な化合物
化合物中ではラジウムは常に2価の陽イオンRa2+として存在する。
RaCl2·2H2O |
塩化ラジウム二水和物 |
Radium Chloride Dihydrate |
RaSO4 |
硫酸ラジウム |
Radium Sulfate |
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