性質および化学反応

　単体には同素体が存在し、六方晶系の灰色セレンは金属光沢を有し半導体としての性質を示し、単斜晶系の赤色セレンは分子性固体である。熱濃硫酸および濃硝酸により酸化されて亜セレン酸を生成する。

セレンの単体

自然界における存在

　硫化鉱物中に硫黄原子の一部を置換して存在する。銅の電解精錬の陽極泥に金および銀と伴に多く含まれ、ここから回収されている。少量のセレンを含みオレンジ色を呈する、セレン硫黄と呼ばれるものもある。
　セレンは生物にとって必須元素であり、不足すると欠乏症を引き起こすが、毒性が強く少し過剰になれば逆に内臓疾患などの障害を引き起こす。

工業的用途

　光を照射すると著しく電気抵抗が減少する性質を利用して、光センサーに用いられ、またコピー機の感光ドラムにも用いられる。

主な化合物

化合物中のセレンの酸化数には-2，+2，+4，+6などが存在する。

H₂Se	セレン化水素	Hydrogen Selenide
SeO₂	二酸化セレン	Selenium Dioxide
SeO₃	三酸化セレン	Selenium Trioxide
H₂SeO₃	亜セレン酸	Selenous Acid
H₂SeO₄	セレン酸	Selenic Acid

電子配置	1s²2s²2p⁶3s²3p⁶3d¹⁰4s²4p⁴ [Ar]3d¹⁰4s²4p⁴
第一イオン化エネルギー	940.94 kJ/mol	9.752 eV
電子親和力	194.9 kJ/mol	2.020 eV

密度	4.79 g/cm³ (r.t.)
結晶格子	六方格子( )　a=4.366Å, c=4.959Å
熱容量Cp（比熱）25℃	25.363 J/mol K (0.07677 cal/g K)
融点	220.2℃
沸点	684.9℃

地殻中存在比	0.05 ppm
海水中存在比	0.11 ppb
大気中存在比	-
宇宙存在比(Si=10⁶)	62.1

同位体
核種	相対質量	スピンパリティー	半減期	天然存在比	壊変
⁷²Se	71.927112352	0⁺	8.40 d	-	EC
⁷³Se	72.926765345	9/2⁺	7.15 hr	-	β⁺65, EC35
⁷⁴Se	73.922476436	0⁺	stable	0.89％	-
⁷⁵Se	74.922523368	5/2⁺	119.779 d	-	EC
⁷⁶Se	75.919213597	0⁺	stable	9.37％	-
⁷⁷Se	76.919914038	1/2^-	stable	7.63％	-
⁷⁸Se	77.917309090	0⁺	stable	23.77％	-
⁷⁹Se	78.918499098	7.2⁺	6.5×10⁵ yr	-	β^-
⁸⁰Se	79.916521271	0⁺	stable	49.61％	-
⁸²Se	81.916699401	0⁺	8.3×10¹⁹ yr	8.73％	2β^-

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