性質および化学反応

 無色透明の水素に次いで軽い気体元素である。共有結合をつくらず単原子分子として存在し、すべての原子中第一イオン化エネルギーが最大で、化学的にまったく不活性であり化合物は知られていない。しかし放電管の中でイオン化させることによりHe+が発生し、さらに気相反応によりHe2+,HeH+およびHeNe+などの不安定な化学種が生成する。
 ヘリウムは4.2 Kで液化するが温度をさらに下げても1 atmでは固化せず、2.2 Kで相転移を起こし超流動状態になる。超流動とはヘリウムを容器に入れて放置すると、液体が自発的に器壁を伝って容器の外へ流れ出してしまう現象である。
 ヘリウム中での音速は空気の約3倍あり、これを吸うと声が甲高くなる。しかし純粋なヘリウムを吸うと窒息する可能性があるため、酸素を20%混ぜたドナルドボイス専用のガスを用いないと危険である。
ヘリウムボンベ

自然界における存在

 ヘリウムという名称はギリシャ語で太陽を意味するHeliosに由来するが、これはヘリウムの発見が太陽の輝線スペクトルの観測によるものであり、これに因んで命名されたためである。この様に太陽をはじめとする恒星には水素原子が核融合することにより生成したヘリウムが多量に含まれている。地球の大気中のヘリウム含有量は極めてわずかで5.24vol ppmであるが、北米の天然ガス中には地下のウランのα壊変により生成したヘリウムガスが数%含まれ、これが資源として用いられている。
太陽大気の8.87atom%を占めるヘリウム

工業的用途

 水素に次いで軽い気体であり、かつ不燃性であるため、風船につめたり広告塔としての飛行船に用いられる。また潜水用ボンベの圧縮空気は通常の空気を用いた場合、高圧下で窒素酔いを引き起こすため、窒素を血液に対する溶解度の小さいヘリウムに置換することがある。

主な化合物

ヘリウム化合物は未知である。



電子配置
1s2
第一イオン化エネルギー
2372.303 kJ/mol
24.587 eV
電子親和力
〜0 kJ/mol
〜0 eV
密度
0.0001785 g/cm3 (0℃, 1 atm)
結晶格子
 格子( ) a= nm
熱容量Cp(定圧比熱)25℃
20.786 J/mol K (1.2412 cal/g K)
融点
-272.2℃ (26 atm)
沸点
-268.934℃
地殻中存在比
  ppm
海水中存在比
0.0069 ppb
大気中存在比
0.72wt ppm
宇宙存在比(Si=106)
2.72×109


同位体
核種
相対質量
スピンパリティー
半減期
天然存在比
壊変
3He

3.01602931914

1/2+
stable
 0.000142%
-
4He

4.00260325415

0+
stable
99.999858%
-
5He

5.012223624

3/2-
7.6×10-22 s
-
n
6He

6.018889124

0+
810 ms
-
β-
8He

8.033921897

0+
119.0 ms
-
β-


n
H
He
Li
Be
B
C
N
O
F
Ne
Na
Mg
Al
Si
P
S
Cl
Ar
K
Ca
Sc
Ti
V
Cr
Mn
Fe
Co
Ni
Cu
Zn
Ga
Ge
As
Se
Br
Kr
Rb
Sr
Y
Zr
Nb
Mo
Tc
Ru
Rh
Pd
Ag
Cd
In
Sn
Sb
Te
I
Xe
Cs
Ba
Hf
Ta
W
Re
Os
Ir
Pt
Au
Hg
Tl
Pb
Bi
Po
At
Rn
Fr
Ra
Rf
Db
Sg
Bh
Hs
Mt
Ds
Rg
Uub
Uut
Uuq
Uup
Uuh
Uus
Uuo
La
Ce
Pr
Nd
Pm
Sm
Eu
Gd
Tb
Dy
Ho
Er
Tm
Yb
Lu
Ac
Th
Pa
U
Np
Pu
Am
Cm
Bk
Cf
Es
Fm
Md
No
Lr



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