性質および化学反応
青みを帯びた銀白色の軟らかい金属元素であり、融点が水銀、セシウムに次いで低く手で握れば体温で融解する。塩酸および希硫酸に徐々に溶解し、熱濃水酸化ナトリウム水溶液にも徐々に水素を発生して溶解する。
アルミニウムと異なり、アルカリ性でヒドロキシ錯体水溶液Na3[Ga(OH)6]から電気分解により陰極に金属を析出させることが可能である。
塩酸との反応 |
2Ga + 6HCl → 2GaCl3 + 3H2 |
希硫酸との反応 |
2Ga + 3H2SO4 → Ga2(SO4)3 + 3H2 |
水酸化ナトリウム水溶液との反応 |
2Ga + 6NaOH + 6H2O → 2Na3[Ga(OH)6] + 3H2 |
陰極のアルカリ水溶液中からの金属析出 |
[Ga(OH)6]3-aq + 3e- → Ga(s) + 6OH-aq |
ガリウムの単体
自然界における存在
アルミニウム鉱物中にアルミニウムの一部を置換して含まれている。閃亜鉛鉱中にも亜鉛の一部を置換して存在し、亜鉛製錬の際の煤煙などから回収されていが、ガリウムを主成分として含む鉱物が存在しないため、高価である。
工業的用途
ガリウムヒ素GaAsはゲルマニウムに類似した半導体で優れた特性を有するため各種電子部品に用いられる。インジウムとの合金は室温でも液体の低融点合金であり、純粋な金属も液体の範囲が広いことから高温域を測定する温度計などに用いられる。
主な化合物
Ga2O3 |
酸化ガリウム |
Gallium Oxide |
GaN |
窒化ガリウム |
Gallium Nitride |
GaAs |
ヒ化ガリウム |
Gallium Arsenide |
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