性質および化学反応

　銀白色の金属元素であり、希塩酸および希硫酸にたやすく溶解し無色の３価の陽イオンYb³⁺を生成するが、一瞬淡黄色の２価の陽イオンYb²⁺を生成するのが観測される。イッテルビウム原子は4f軌道が全て満たされているため球対称となり、ランタノイド元素中ではユウロピウムに次いで２価の状態をとる傾向が強くアルカリ土類金属元素に類似する部分がある。
　元素名はスウェーデンの希土類鉱物を産出した採石場のある地名のYtterbyにちなむが、イットリウム、テルビウムおよびエルビウムの元素名もこの地名を起源としている。

薄い酸との反応	Yb + 2H⁺ → Yb²⁺ + H₂
２価イオンの酸化	2Yb²⁺ + 2H⁺ → 2Yb³⁺ + H₂

イッテルビウムの単体

自然界における存在

　ゼノタイムのようなイットリウム鉱物中に重ランタノイド元素(Gd～Lu)と伴に存在し、鉱物中での原子価は３で、ユウロピウムと異なり２価状態で存在することはほとんどない。

工業的用途

主な化合物

化合物中ではイッテルビウム原子の酸化数は+3をとることが多いが+2も存在する。

YbCl₂	塩化イッテルビウム(Ⅱ)	Ytterbium(Ⅱ) Chloride
Yb₂O₃	酸化イッテルビウム(Ⅲ)	Ytterbium(Ⅲ) Oxide
Yb₂(SO₄)₃·8H₂O	硫酸イッテルビウム(Ⅲ)八水和物	Ytterbium(Ⅲ) Sulfate Octahydrate

電子配置	1s²2s²2p⁶3s²3p⁶3d¹⁰4s²4p⁶4d¹⁰4f¹⁴5s²5p⁶6s² [Xe]4f¹⁴6s²
第一イオン化エネルギー	603.25 kJ/mol	6.254 eV
電子親和力	kJ/mol	eV

密度	6.965 g/cm³ (r.t.)
結晶格子	面心立方格子(fcc)　a=5.486Å
熱容量Cp（比熱）25℃	26.74 J/mol K (0.0369 cal/g K)
融点	819℃
沸点	1194℃

地殻中存在比	3 ppm
海水中存在比	0.8×10^-3 ppb
大気中存在比	-
宇宙存在比(Si=10⁶)	0.2479

同位体
核種	相対質量	スピンパリティー	半減期	天然存在比	壊変
¹⁶⁶Yb	165.933882042	0⁺	2.36 d	-	EC
¹⁶⁸Yb	167.933896895	0⁺	＞1.3×10¹⁴ yr	0.13％	(α, 2β⁺)
¹⁶⁹Yb	168.935189802	7/2⁺	32.026 d	-	EC
¹⁷⁰Yb	169.934761837	0⁺	stable	3.04％	-
¹⁷¹Yb	170.936325799	1/2^-	stable	14.28％	-
¹⁷²Yb	171.936381469	0⁺	stable	21.83％	-
¹⁷³Yb	172.938210787	5/2^-	stable	16.13％	-
¹⁷⁴Yb	173.938862089	0⁺	stable	31.83％	-
¹⁷⁵Yb	174.94127645	7/2^-	4.185 d	-	β^-
¹⁷⁶Yb	175.942571683	0⁺	stable	12.76％	-

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