性質および化学反応

　青みを帯びた銀灰色の非常に硬い金属元素で、地球上の物質中最も密度が高く、空気中で表面が徐々に酸化され揮発性で毒性および刺激臭のある酸化オスミウム(Ⅷ) OsO₄が生成する。OsO₄は特に目に対し強く作用し、一時的に目が見えなくなることもある。酸とは反応しにくく、微粉末のものは王水と反応する。元素名はギリシャ語の臭いを意味するOsmeに由来する。

オスミウムの単体

自然界における存在

　他の白金族元素と伴に砂白金鉱中に含まれ、特にイリドスミンの主成分である。北海道で採取されたイリドスミンには通常30～40％のオスミウムを含み、80％以上含むものも少なくない。

工業的用途

　酸化オスミウム(Ⅷ)は有機物と反応して還元され黒色のオスミウム単体を生成するため、犯罪捜査における指紋検出に用いられる。イリジウムとの合金は極めて硬く、耐摩耗性に優れるため、万年筆のペン先に用いられる。

主な化合物

化合物中ではオスミウム原子は0～+8のあらゆる酸化数をとる。

OsO₄

酸化オスミウム(Ⅷ)

Osmium(Ⅷ) Oxide

電子配置	1s²2s²2p⁶3s²3p⁶3d¹⁰4s²4p⁶4d¹⁰4f¹⁴5s²5p⁶5d⁶6s² [Xe]4f¹⁴5d⁶6s²
第一イオン化エネルギー	799 kJ/mol	8.28 eV
電子親和力	104 kJ/mol	1.1 eV

密度	22.57 g/cm³ (r.t.)
結晶格子	六方最密充填格子(hcp)　a=2.734Å, c=4.319Å
熱容量Cp（比熱）25℃	24.7 J/mol K (0.0310 cal/g K)
融点	3045℃
沸点	5012℃

地殻中存在比	0.001 ppm
海水中存在比	ppb
大気中存在比	-
宇宙存在比(Si=10⁶)	0.675

同位体
核種	相対質量	スピンパリティー	半減期	天然存在比	壊変
¹⁸⁴Os	183.952489071	0⁺	＞5.6×10¹³ yr	0.02％	(α, 2β⁺)
¹⁸⁵Os	184.954042265	1/2^-	93.6 d	-	EC
¹⁸⁶Os	185.953838158	0⁺	2.0×10¹⁵ yr	1.59％	α
¹⁸⁷Os	186.955750458	1/2^-	stable	1.96％	-
¹⁸⁸Os	187.955838228	0⁺	stable	13.24％	-
¹⁸⁹Os	188.958147470	3/2^-	stable	16.15％	-
¹⁹⁰Os	189.958447048	0⁺	stable	26.26％	-
¹⁹¹Os	190.960929718	9/2^-	15.4 d	-	β^-
¹⁹²Os	191.961480690	0⁺	＞9.8×10¹² yr	40.78％	(2β^-, α)
¹⁹³Os	192.964151563	3/2^-	1.255 d	-	β^-
¹⁹⁴Os	193.965182083	0⁺	6.0 yr	-	β^-

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