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性質および化学反応単体は酸素とは反応しないが、硫黄と反応して黒色の硫化銀を生成する。希塩酸および希硫酸とはほとんど反応しないが、酸化作用のある希硝酸に溶解し一酸化窒素を発生し、熱濃硫酸に溶解した場合は二酸化硫黄を発生する。王水とは表面に塩化銀の皮膜を生成し、反応が停止する。酸素の存在下でシアン化ナトリウム水溶液に溶解してジシアノ銀酸イオン[Ag(CN)2]-を生成する。 銀イオンAg+は無色透明で、4d軌道がすべて満たされ典型金属的な挙動を示すが、アンモニア、ハロゲンおよび硫黄などと錯体形成しやすく親和力が強い点がアルカリ金属イオンとは異なる。AgCl,AgBr (Ksp = 5.3×10-13),AgI (Ksp = 8.5×10-17)は水に極めて難溶性で光により黒化する感光性を示す。酢酸塩CH3COOAg (Ksp = 1.91×10-3)および硫酸塩Ag2SO4 (Ksp = 1.20×10-5)などもやや難溶性である。Ag+の冷溶液にアンモニア水を加えると最初は白色の水酸化銀を少量沈殿するが、すぐに分解して褐色の酸化銀となり、過剰に加えるとジアンミン銀イオンを生成して無色溶液となる。 Ag+は電荷が低いため比較的加水分解しにくく、(pKa = 12.0)硝酸銀水溶液はほとんど中性を示す。銀のイオン化電位+0.7992 V (Ag+/Ag)が比較的高いため、銀イオンは酸化作用が強く、光の作用により還元され易い。また皮膚と接触しても還元されて黒褐色の銀の微粒子を生成し、皮膚に沈着して皮がはがれるまでしばらく取れない。硝酸銀などを扱う場合は皮膚に接触しないように注意したほうがよい。 元素記号Agはラテン語の銀を意味するArgentumに由来する。南米のアルゼンチンは銀の国という意味である。
![]() 自然界における存在硫化鉱にも少量含まれ、銅の電解精錬の陽極泥からの副産物が生産量のかなりの部分を占めている。
工業的用途現在の銀の主要な産地はメキシコであるが、16世紀から17世紀前半にかけては日本で石見銀山を中心に高品位の鉱石が多量に産出し、最盛期には全世界の産出量の1/3にも達したといわれている。この銀は銀山街道を通り尾道から瀬戸内海を船で運搬され、丁銀などに鋳造されて、主に上方(大阪)で商取引に用いられ、海外にも輸出されていた。幕府は銀山および街道筋の宿場町を天領としていた。その後メキシコで大規模な鉱床が発見されるが、明治時代まではわが国は世界2位の銀産国であったという。 金属としては貴金属として宝飾用、電気抵抗が低いため電子部品の配線、およびメッキ用に用いられる。臭化銀は光により変化する性質を利用して、写真フイルムの感光剤に用いられる。近年はデジタルカメラが主流となってきたため、銀塩写真は本格的な写真家を対象とした一部の需要のみとなってしまった。ヨウ化銀は細かい粒子を形成するため、人工雨を降らせるため、大気中にヨウ化銀を撒き、氷の結晶成長の核とさせる試みがなされたことがある。銀は極微量でも強い殺菌作用を示すため、抗菌材料としても用いられる。 銀-塩化銀電極は標準酸化還元電位が+0.2222 VでありpHメーター、および酸化還元電位測定の参照電極として用いられる。
![]() 主な化合物
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1s22s22p63s23p63d104s24p64d105s1 [Kr]4d105s1 | ||
104.906528661 |
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106.905096820 |
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107.906073195 |
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108.904752292 |
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110.905291157 |