性質および化学反応
ホウ素は漢字で「硼素」と書くが、これは常用漢字ではないためカタカナが使用される。単体は金属光沢を持つ青灰色の硬くもろい固体である。酸およびアルカリ水溶液ともほとんど反応しないが、熱濃硝酸で酸化されホウ酸を生成し、空気中で加熱すると酸化物を生成する。半導体としての性質を示すが、正二十面体型の十二原子分子B12からなる同素体も存在する。ホウ酸のアルコール溶液を燃焼させることにより、黄緑色の炎色反応が観測される。
ホウ素の単体
自然界における存在
ホウ素を含む独自の鉱物としては硼珪酸塩のダンブリ石CaB2Si2O8および電気石Na(Mg,Fe)3Al6(BO3)3(Si6O18)(OH)4などがある。硼酸塩鉱物としては小藤石Mg3(BO3)2が知られている。海水中にもホウ酸分子の形で少量溶解している。ホウ酸資源として最も多量に産出するのは硼砂Na2B4O7·10H2Oであるが、水溶性であるためわが国では産出しない。
ダンブリ石 メキシコ産
工業的用途
シリコンおよびゲルマニウムに微量(1 ppm程度)添加することにより現れる特性を利用し、P型半導体として用いられる。ホウ酸は目薬および消毒用などに用いられる。窒化ホウ素BNはダイヤモンドに次いで硬く、新素材として注目される。
主な化合物
化合物中のホウ素の酸化数には-3, +3などが存在する。
B2H6 |
ジボラン |
Diborane |
H3BO3 |
ホウ酸 |
Boric Acid |
Na2B4O7·10H2O |
四ホウ酸ナトリウム十水和物(ホウ砂) |
Sodium Tetraborate Decahydrate |
電子配置 |
1s22s22p1 [He]2s22p1 |
第一イオン化エネルギー |
800.65 kJ/mol |
8.298 eV |
電子親和力 |
26.7 kJ/mol |
0.277 eV |
|
密度 |
2.34 g/cm3 (r.t.) |
結晶格子 |
三方格子( ) a=5.057Å, α=58.1° |
熱容量Cp(比熱)25℃ |
11.09 J/mol K (0.245 cal/g K) |
融点 |
2077℃ |
沸点 |
3870℃ |
|
地殻中存在比 |
10 ppm |
海水中存在比 |
4.5 ppm |
大気中存在比 |
- |
宇宙存在比(Si=106) |
21.2 |
同位体 |
核種 |
相対質量 |
スピンパリティー |
半減期 |
天然存在比 |
壊変 |
8B |
8.024607233 |
2+ |
770 ms |
- |
β+2α |
10B |
10.012936992 |
3+ |
stable |
19.9% |
- |
11B |
11.009305406 |
3/2- |
stable |
80.1% |
- |
周期表TOP
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