性質および化学反応

 銀白色の金属元素であるが空気中で酸化されやすく、内部まで酸化が進行し粉末状の酸化物になる。金槌などでたたくと火花を発生する。水とも徐々に反応し水酸化物の沈殿となる。希塩酸および希硫酸と激しく反応し、水素ガスと3価の陽イオンLa3+を生成する。ランタンには4f軌道電子は存在せず、イオンは無色で反磁性であり、他のランタノイド元素とは異なり典型金属元素的な性質を示す。
 元素名は、ランタンがセリウムを主とする鉱物中に多く含まれながらも分離が困難であったため、ギリシャ語の隠されたものを意味するLanthaneinから命名された。
 アルミニウムは粘土を構成する元素で土類元素と呼ばれるが、同様に3価の安定な陽イオンを形成する3族元素はアルミニウムと比較して存在量が少ないことから希土類Rare Earthと呼ばれる。しかし希土類鉱物はペグマタイトなど花崗岩質の岩石に濃縮されているため、地上での元素存在度はそれほど希少というわけではない。
ランタンの単体

自然界における存在

 リン酸塩としてモナズ石(La,Ce)PO4およびバストネサイト(La,Ce)CO3Fなどの希土類鉱物中に他の軽ランタノイド元素(La〜Gd)と伴に存在する。燐灰石中のカルシウムイオンの一部をランタノイド元素が置換していることもある。

工業的用途

 セリウムなどとの混合物であるミッシュメタルは発火合金として用いられ、酸化ランタンは高屈折率の光学レンズ用ガラスの原料およびセラミックコンデンサーの誘電体の材料に用いられる。
 ニッケル合金LaNi5は水素吸蔵能力を持つ。二次電池であるニッケルカドミウム電池の負極活物質を水素吸蔵合金に置換することにより、容量が2倍程度でしかもカドミウムを用いないという優れた特性を持つニッケル水素電池がある。ニッケル水素電池の負極としてはコスト面からランタンをミッシュメタルに、水素平衡解離圧を下げるためにニッケル部分をアルミニウムおよびマンガンで置換した合金(La,Ce)(Ni,Mn,Al)5が用いられる。

主な化合物

化合物中ではランタン原子の酸化数は+3のみが安定である。

La2O3 酸化ランタン Lanthanum Oxide
La(OH)3 水酸化ランタン Lanthanum Hydroxide
La2(SO4)3·9H2O 硫酸ランタン九水和物 Lanthanum Sulfate Nonahydrate



電子配置
1s22s22p63s23p63d104s24p64d105s25p65d16s2
[Xe]5d16s2
第一イオン化エネルギー
538.10 kJ/mol
5.577 eV
電子親和力
45 kJ/mol
0.47 eV
密度
6.145 g/cm3 (25℃)
結晶格子
複六方最密充填格子 a=3.770Å, c=12.159Å
熱容量Cp(比熱)25℃
27.11 J/mol K (0.0466 cal/g K)
融点
920℃
沸点
3461℃
地殻中存在比
30 ppm
海水中存在比
4×10-3 ppb
大気中存在比
-
宇宙存在比(Si=106)
0.446


同位体
核種
相対質量
スピンパリティー
半減期
天然存在比
壊変
137La

136.906493598

7/2+
6×104 yr
-
EC
138La

137.907111930

5+
1.05×1011 yr
 0.090%
EC68, β-32
139La

138.906353267

7/2+
stable
99.910%
-
140La

139.909477645

3-
1.6781 d
-
β-


n
H
He
Li
Be
B
C
N
O
F
Ne
Na
Mg
Al
Si
P
S
Cl
Ar
K
Ca
Sc
Ti
V
Cr
Mn
Fe
Co
Ni
Cu
Zn
Ga
Ge
As
Se
Br
Kr
Rb
Sr
Y
Zr
Nb
Mo
Tc
Ru
Rh
Pd
Ag
Cd
In
Sn
Sb
Te
I
Xe
Cs
Ba
Hf
Ta
W
Re
Os
Ir
Pt
Au
Hg
Tl
Pb
Bi
Po
At
Rn
Fr
Ra
Rf
Db
Sg
Bh
Hs
Mt
Ds
Rg
Uub
Uut
Uuq
Uup
Uuh
Uus
Uuo
La
Ce
Pr
Nd
Pm
Sm
Eu
Gd
Tb
Dy
Ho
Er
Tm
Yb
Lu
Ac
Th
Pa
U
Np
Pu
Am
Cm
Bk
Cf
Es
Fm
Md
No
Lr



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