性質および化学反応

 銀灰色の金属元素で、空気中で表面に酸化皮膜を形成するため錆は進行しないが、加熱により燃焼し、酸素中で反応して酸化物を生成する反応より窒素中のほうが激しく反応し窒化物を生成する。塩酸および希硫酸とはほとんど反応しないがフッ化水素酸と反応してフルオロ錯体を生成する。

フッ化水素酸との反応 Zr + 6HF → H2[ZrF6] + 2H2

ジルコニウムの単体

自然界における存在

 最も普通のジルコニウム鉱物はジルコンZrSiO4であり、透明度が高く美しいものは宝石に、通常のものは耐火物に利用され、元素名の語源でもある。自然界のジルコニウムは常に2〜4%程度のハフニウムを含み分離は困難で、長い間ジルコニウムの性質はハフニウムを含んだまま研究されていた。
ジルコン

工業的用途

 高温で水素、窒素および酸素を多量に吸蔵する性質を持ち、真空管中の残留ガスを除去するゲッターとして用いられる。また熱中性子の捕獲断面積が非常に小さいため、原子炉中のウラン燃料棒の被覆材料などに用いられる。
 酸化ジルコニウムはジルコニアとも呼ばれ耐熱性および耐酸性があり、坩堝および耐酸容器の材料として用いられる。ジルコニアからなるセラミックスは包丁やはさみに用いられる。
 酸化ジルコニウムのZr4+の一部をイットリウムなどの希土類イオンで置き換えて、高温型の立方晶系を室温でも安定化させた安定化ジルコニアは、3価イオンによる酸素の空格子点が存在し、空格子点の移動による伝導性を持つため、固体電解質として酸素センサーの電極および燃料電池の電導体として用いられる。

主な化合物

化合物中ではジルコニウム原子の酸化数は+4をとることが多い。

ZrO2 酸化ジルコニウム(Ⅳ) Zirconium(Ⅳ) Oxide



電子配置
1s22s22p63s23p63d104s24p64d25s2
[Kr]4d25s2
第一イオン化エネルギー
636.0 kJ/mol
6.84 eV
電子親和力
41.1 kJ/mol
0.426 eV
密度
6.506 g/cm3 (20℃)
結晶格子
六方最密充填格子(hcp) a=3.232Å, c=5.147Å
熱容量Cp(比熱)25℃
25.36 J/mol K (0.0664 cal/g K)
融点
1852℃
沸点
4361℃
地殻中存在比
165 ppm
海水中存在比
1 ppb
大気中存在比
-
宇宙存在比(Si=106)
11.4


同位体
核種
相対質量
スピンパリティー
半減期
天然存在比
壊変
88Zr

87.910226904

0+
83.4 d
-
EC
89Zr

88.9088895

9/2+
3.27 d
-
EC77.7, β+22.3
90Zr

89.904704416

0+
stable
51.45%
-
91Zr

90.905645767

5/2+
stable
11.22%
-
92Zr

91.905040847

0+
stable
17.15%
-
93Zr

92.906476006

5/2+
1.53×106 yr
-
β-
94Zr

93.906315192

0+
>6×1015 yr
17.38%
(2β-)
95Zr

94.9080426

5/2+
64.02 d
-
β-
96Zr

95.908273386

0+
3.9×1019 yr
 2.80%
-


n
H
He
Li
Be
B
C
N
O
F
Ne
Na
Mg
Al
Si
P
S
Cl
Ar
K
Ca
Sc
Ti
V
Cr
Mn
Fe
Co
Ni
Cu
Zn
Ga
Ge
As
Se
Br
Kr
Rb
Sr
Y
Zr
Nb
Mo
Tc
Ru
Rh
Pd
Ag
Cd
In
Sn
Sb
Te
I
Xe
Cs
Ba
Hf
Ta
W
Re
Os
Ir
Pt
Au
Hg
Tl
Pb
Bi
Po
At
Rn
Fr
Ra
Rf
Db
Sg
Bh
Hs
Mt
Ds
Rg
Uub
Uut
Uuq
Uup
Uuh
Uus
Uuo
La
Ce
Pr
Nd
Pm
Sm
Eu
Gd
Tb
Dy
Ho
Er
Tm
Yb
Lu
Ac
Th
Pa
U
Np
Pu
Am
Cm
Bk
Cf
Es
Fm
Md
No
Lr



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