性質および化学反応
1879年、L.F.NilsonによりガドリナイトY2Fe(SiO4)2O2中から発見され、この鉱物の産地であるスカンジナビア半島から命名された。単体は銀白色の軽金属で、アルミニウムより硬く、塩酸および希硫酸にたやすく溶解して水素を発生する。希土類元素よりはむしろアルミニウムに類似し、熱濃水酸化ナトリウムとも反応する。
21番元素であるスカンジウム原子から3d軌道に電子が満たされていき、遷移金属と呼ばれるが、3価の陽イオンSc3+のみが安定であり、これはK+およびCa2+と同様にアルゴンの電子配置であり、無色透明で典型金属的な性質を持つ。
スカンジウムの単体
自然界における存在
他の希土類元素よりもイオン半径が小さいため、希土類鉱物中の含有量は少ない。ウランおよびタングステン鉱物などに少量含まれ、これらの鉱石を製錬する際の副産物が資源として利用される。火成岩中では輝石および角閃石中の鉄の一部を置換して薄く分布している。ソートベイタイト(Sc,Y)2Si2O7などの鉱物も存在するが、産出が稀である。地殻中の平均濃度は鉛より高いが、広く薄く分布し特定の鉱物に濃縮されることが少なく、高価である。
ソートベイタイト ノルウェー産
工業的用途
軽金属であり、かつ機械的強度が高いため構造材料としての用途が期待されるが現在のところ高価でありあまり使用されていない。アルミニウムにスカンジウムを加えた軽合金は高い強度を有し、スポーツ自転車のフレームに使用されている。水銀灯に少量加えて放電させると自然光に近い色となるため、スタジアムの照明用のライトに用いられる。
主な化合物
化合物中ではスカンジウム原子の酸化数は+3のみが安定である。
Sc2O3 |
酸化スカンジウム |
Scandium Oxide |
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